12月の初め、九州から業者さんが来られて、都合山たたら跡に待望のバイオトイレが設置されました。場所はキャビンから南側に30メートルほどのところ。電力が必要とのことで、太陽光パネルが3基、屋根の高さに取り付けてあります。
これからシーズンオフとなるので、実稼働は来春以降。イベントなどの際に使っていただくことになりますが、周囲に目隠しとなるシェードを取り付けるべく、モルタルの基礎付き支柱を4個、設置しました。2人で作業しましたが、大変な難工事(汗;)でした。
でもこれで気軽に、安心して、都合山まで皆さんにお越しいただけると思います。バイオトイレの使い心地を試しに(笑)ぜひお越しください!
11月29日の午後、日野中の全生徒を対象に、50分を2枠いただいて「たたら学習」をさせていただきました。2021年は座学プラス都合山の現地見学という組み立てでしたが、今回は座学のみ。前年の反省を踏まえ、どうしたら退屈せずに2時間付き合ってもらえるか、それを考えた末、「楽しい映像コンテンツ攻め」とすることにしました。
とは言え、2年生と3年生には前年、一通りの話をしているし(多分、忘れているんでしょうが・・・笑)ほとんど予備知識のない1年生には何をどう話せばいいか?何日も前から、結構悩みました〜
が、生徒それぞれに「たたら」についての何かが引っかかってくれたらそれで良し、と思って臨みました。
まず最初に「石器時代体験」。町内の採石場で用立ててもらった鋭利な石で、大根や牛蒡などを切るゲームからスタート。先祖さんたちが鉄を手に入れて、以来暮らしがどう変わったかを考えてもらいました。それでわ〜っと盛り上げてからグループ討議や前年の振り返り、「鉄乃進」のアニメや電子紙芝居を見せて、観ただけで終わらないように解説。時間枠があっという間に埋まって最後、時間切れ。(あと20分、欲しかった〜!)
後日届けられたアンケートには、予想した通り、何がウケたか、何が記憶に残ったかはまったく個々それぞれ。中でも「カナクソの唄」のインパクトはとても大きかったようです。これらのアンケート結果は、きっと今後、大いに役立つことでしょう〜!!
黒坂小学校の校長先生からお声かけいただいて、日野郡内と西伯郡内の小学校の校長先生の研修会に、講師として出席させていただきました。会場は伯耆町農村環境改善センター。
いただいた時間は1時間。その間にどんな話ができるのか?お相手はなんと言っても校長先生!(笑)。まずは奥日野におけるたたら製鉄の歴史概要、これを45分。校長先生といえど、多分初めてお聞きいただく話もたくさんあったのでは?と思います。
そして残りの15分は(これが今回のキモ!)学校教育の中で「たたら」を教育素材として上手く活かせないか?について持論を展開しました。「鉄・たたら」は地球史や地質学・地理学、あるいは燃焼や製鉄、水力やエネルギー全般に関わる物理学、さらに産業革命以来の科学史などなど、単に郷土の歴史を学ぶという「ふるさと教育」に止まらない学問的な切り口を有しています。これらを上手く活かせるようなカリキュラムをぜひ考えてください〜というお願いをして、1時間と1分で終了〜!!
高校生くらいになると社会科や理科で教科の選択を迫られますが、それまでのところで、いわゆるリベラルアーツとして、広い見識を養うことがとても大事です。そこに「たたら」が活かせないか?校長先生方、よろしくお願いします〜
2021年に続いて、この2日間、所定の時間内に都合山たたら跡を訪ねていただければ遺跡をご案内します、、、ということで、今年も企画。日野町内の防災無線放送でお知らせしたのですが、29日はなかなか足を運んでくださる方がなく、お陰で(笑)キャビン周辺の整備作業がずいぶんはかどりました〜
キャビン南側のウッドデッキに続く形で、屋外用テーブルとベンチを新設。木漏れ陽が差し込む下で、とても良い感じになり、まずはスタッフがここでランチとティータイムを楽しみました。
翌30日は、奥日野ガイド倶楽部主催のウオークイベントに参加された皆さんにお越しいただき、遺跡内の散策〜テーブルを囲んで「たたら」の座学・・・でお楽しみいただきました。
近々、トイレも整備されるはずなので、そうすれば皆さんに、安心してこちらにお運びいただけるものと期待しています。
22日は朝から、川平山たたら跡へのウオーキングに同行。江府町文化協会主催で、たたら顕彰会はそのサポートをさせていただき、町内の皆さんが30名ほどご参加でした。
川平山は日野川左岸、江府町の一番下(北)側で操業されていたたたらの遺跡で、山内では顕彰会事務局長のF氏が、しばし山内の解説。現地は見通しがよく、高殿跡や金屋子神の祠跡などがよく確認できます。できればここに各施設の名を記した看板とか、できればかつての施設配置想像図などがあれば、もっと理解が進むはずです。
たたら跡の下に少し歩くと、縄文時代の名残を残すアラカシ群生の森、森の中を川沿いに小径が続きます。この日は一番下側までは歩きませんでしたが、とても趣がある場所で、機会があれば皆さんにもぜひ訪ねてほしいコースです。
『たたらの実像をさぐる』出版記念シンポジウムの一環として、その翌日は鳥取県指定史跡「都合山たたら跡」で、角田徳幸さんの直々の解説による現地見学会を実施しました。
都合山は明治31年に東京帝国大学の冶金学者・俵国一博士が、斜陽となりつつあった「たたら」の」記録を残すべく現地調査をされ、施設の図面や操業の詳細な記録が残されており、それを検証する形で角田さんが発掘調査をされたことから学史的な価値が高く、角田さんの発掘では俵資料には語られていなかった二つの大鍛治場が確認されるなど、当時の状況がよくわかる史跡となっています。
その他、21年12月に見つかった「都合谷鉄穴」の砂鉄選鉱場についても解説していただきました。
コロナ渦の影響もあって、出版が遅れていた角田徳幸さんの新著『たたらの実像をさぐる〜山陰の製鉄遺跡〜』が8月に出版され、その出版記念シンポジウムを9月17日(土)、日南町総合文化センター2F多目的ホールで開催しました。
まず最初に、この本の内容について、角田さん(島根県古代文化センターセンター長)から、詳細にわたって解説していただきました。
近年「たたら」は「玉鋼〜刀剣」という文脈で語られることが多いが、実は人々の生活に密着した道具の素材として生産されることがほとんどで、奥日野や奥出雲で鋼を主に生産していた「山のたたら」の他、水運を使って日本海沿岸で銑を主に生産していた「海のたたら」があったことなどが紹介されました。
この本は、写真やイラスト、図表が多用され、初心者の皆さんにも解りやすく著されていますので、ぜひご購読ください。
『たたらの実像をさぐる
〜山陰の製鉄遺跡〜』
角田 徳幸/著 新泉社/刊
A5判96頁 1700円+税
2022.08.20発行
日本の鉄は、明治時代初期まで九割以上が中国地方で生産されていた。神秘的な鉄づくり、日本刀の材料となる玉鋼づくりという、たたらの画一的なイメージを超えるその実像を発掘調査と操業当時の記録から明らかにしていく。
基調講演の後、休憩を挟んで『「たたらを活かした地域づくり」に向けて』をテーマにパネルディスカッションを行いました。
パネリストは著者の角田徳幸さん、米子市経済部文化観光局文化振興課専門官の中原斉さん、奥出雲町教育委員会学校再編推進課の高尾昭浩さん、伯耆国たたら顕彰会からは佐々木幸人、コーディネーターはすぎはらみきをさん(有/地域未来)。
まず基調講演の内容に沿って、この本が出版された意義や各々の感想、そして質疑がなされました。
後半は日野町や日南町における「たたら」に関する取り組みや、パネリストとしてお越しいただいた奥出雲町の高尾さんから、住民によるさまざまな取り組みが紹介され、大変参考になり、また大いに刺激を受けました。パネルディスカッションは話が盛り上がり、予定時間を30分くらい延長して閉会としました。
放送では弓ヶ浜半島の成り立ちが主テーマとなっていて、奥日野のたたらの歴史、砂鉄採取のための「鉄穴流し」の実相についてはあまり詳細に紹介されませんでしたが、しかし全国の多くの視聴者にたたらの歴史を知ってもらう、良いきっかけにはなったようです。
次に機会があれば、ぜひタモリ氏にもっとじっくり、知ってほしいですね。
明治末期〜大正初期、砂鉄を採取するための鉄穴(かんな)流しの様子です。撮影されたのは日南町阿毘縁(あびれ)。何人が鍬を持って小山を崩しています。かつて鉄穴流しをしていた場所は、今は広々とした田圃に。長年にわたる鉄穴流しは多くの砂を下流に流し、弓ヶ浜半島形成の元となりました。 ※鳥取県立図書館蔵資料(編集加工済み)
見事に左右対称となっている山陰中央部。
宍道湖から境水道を経て日本海へと注ぐ斐伊川は、江戸時代中頃までは出雲から日本海へと流れ、できたのが稲佐の浜。弓ヶ浜と見事な対称になっています。
三種の神器のひとつ、天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)出顕の地、船通山山頂では毎年7月末に「宣楊祭」が執り行われています。
●ヤマタノオロチ神話の舞台、船通山に源を発する日野川(ひのがわ)と斐伊川(ひいかわ)。このふたつの「火の川」流域はかつて、たたら製鉄の主産地として在りました。
●たたらでは、山々を切り崩して鉄穴流しをし、山々の木を切って炭焼きをし、砂鉄と木炭を以て作ったのは鉄。しかし長年にわたるそうした営みは、地形を大きく変造することになったのです。
●ふたつの「火の川」が下流へと至り、鉄穴流しで出た大量の砂が、島根半島に向けて大きな砂洲を造成。
●西側には稲佐の浜、その先端部には八百万の神々がおわす出雲。東側には弓ヶ浜、その先端部には妖怪たちが棲まう境港。
●山陰中央部は船通山を中心として、キレイな対照形を成しており、たたらはその精神性にまで大きく影響を及ぼしているかのようです。
雑草がいよいよ勢いを増すこの季節、毎年ボランティアを募って鳥取県指定史跡「都合山たたら跡」、たたら街道の草刈りが行われます。今年は6月19日(日)に実施され、かつて住宅(小割り長屋)があったとされるキャビン南側も、蔓延っていたクマザサが刈られて随分スッキリしました。
今年度、キャビンを中心に「たたらの楽校・都合山分校」として整備がすすめられる予定。どうぞお楽しみに!!
昨年11月に実施した「下原重仲”恭敬”ツアー&フォーラム」の振り返りと、R4年度の取り組みについて、江府町役場にて江府町文化協会の皆さんと共に会合を持ちました。この日に出されたさまざまな意見を持ち帰って、次回会合でおおよその計画を決めていく予定です。
コロナの影響が長引いていますが、今年は伯耆国たたら顕彰会では、総会を6月4日(土)に開催する予定としました。その開催案内や総会資料のほか、年に1回発行している「たたら通信」や、昨年11月に開催した「下原重仲フォーラム」のレポートなどを同封して、会員の皆さんに発送する作業を行いました。「たたら通信12号」では、令和3年度に行なったさまざまな事業、イベントなどの記事を掲載していて、コチラ(クリック)からもお読みいただけます。また顕彰会では常時、会員を募集しています。
5月25日、取材対応2件。ひとつは安綱に関するツアーコース造成のため、大山山麓日野川流域観光推進協議会スタッフ・関係者の皆さんをアテンド。日南町から日野町〜伯耆町〜米子市へ。これとは別に、某テレビ局制作スタッフを鉄穴流しに関するポイントに案内。午後2時頃、これら二つのグループが偶然、日南町阿毘縁深﨏にて鉢合わせ。いずれも良い成果につながればと念じます。
菅沢「吉鈩(よしだたら)」から案内開始。クルーはモデルさんふたりと記者さん、ディレクター兼運転手さんの4名さま。女性の記者さんは小学校低学年の頃、根雨の小学校に在籍していたとかで、一気に親近感が湧きました〜
3月4日(木) 才ノ原たたらの遺跡発掘調査
3月13日 第3回 中国地方たたら懇話会(奥出雲)
7月16日(金) 日野町公民館で「おしどり学園」
9月9日(木) 「福長下モノ原遺跡」発掘現場・現地説明会
10月6日(水)〜7日(木)日野中学校「ふるさと学習」2days
10月24日(日) 令和のふいご祭り /日野町役場前
10月14日(日)たたらの楽校に「野原文庫」開設
10月29日(金)鳥西高のESD研修でたたら解説&都合山ガイド
11月13日〜14日 都合山現地ガイド2days &とことんツアー
11月21日(日)下原重仲”恭敬”ツアー&フォーラム in 江府町
10月30日(土)幻の“都合谷鉄穴”を探せProject 事前踏査 part 1
11月 幻の”都合谷鉄穴を探せProject 事前踏査 part 2
12月4日(土)幻の”都合谷鉄穴を探せProject