JR上菅駅・上石見駅


無人駅の駅舎がガイダンス施設!

「たたら」をはじめとした郷土の歴史紹介!

日野郡内には日野川に沿ってJR伯備線が南北に走り、7つの駅があります。しかしそのうち5つは無人駅であり、駅舎内には防犯ポスターが貼られ、決してお客様を迎えるしつらえとはなっていません。

そこで平成27年に、これらの駅舎内に地域の歴史などを紹介するパネルを掲出しようという取り組みが、日野軍★みらい創生デザイン会議によって始まりました。遠来のお客様に限らず、日頃通学で駅舎を利用する高校生などに、郷土をより知ってもらい、それを自分たちの誇りとしてもらう場となることにも期待してのことです。



都合山たたら遺跡の最寄駅、JR上菅駅

平成27(2015)年、最初に手掛けたのがJR上菅駅。学史的にも貴重な「都合山たたら遺跡」へのトレッキングの起点となるこの駅舎内に、鉄や「たたら」についてのざっくりした説明、都合山たたら遺跡の解説のほか、第7代孝霊天皇と細姫命、その娘である福姫についての伝承、そして熱心な地元の地域活動などについてのパネルが掲出されました。この駅は日南町の大宮地区(印賀)の最寄駅でもあり、伯備線開通時に地元菅福地区と大宮地区から資金を集めて建てられたもので、大宮から上菅に至るほぼ直線の古い道は今は利用する人はありませんが、近年、「たたら古道・菅沢〜上菅ルート」として復元しました。この駅を拠点とするアクティビティの際、ここに立ち寄っていただくと、「たたら」をはじめとした地域の歴史文化についての理解がより進みます。



縁起の良い「福」の中心に、JR上石見駅

平成29(2017)年の春には伯備線、山陰側の最南端駅、上石見駅にパネルを掲出。日南町石見地域と福栄地域の最寄駅で、福榮神社や福成神社という縁起のよい「福」の付く名の神社のほか、あちこちの地名にも「福」が付く、その中心に位置します。「福」とは「たたら吹く」、つまりたたらが盛んに行われた証とも言われます。

また文豪・井上靖のご家族が戦時中疎開された所縁もあり、日南町を舞台に書かれた小説「通夜の客」には「F村」が登場し、「天に近い、天体の植民地のような村」との表現もあります。いうまでもなくこの「F村」は、町村合併前まであった福栄(ふくさかえ)村のこと。そうした話題のほか、八十神に追われ命を落とした大国主命が二度目の再生を果たしたと言われる大倉山と大石見神社のはなしなどなど話題盛りだくさん。

その大倉山は長い間、周囲ぐるりで砂鉄採取の「鉄穴流し」が盛んに行われたことにより独立峰の山容を見せ、「遠隔残丘」であること、それによって新田(流し込み田)があちこちに造成され、新しい村々ができたことなどを紹介しています。