奥日野たたらの里づくりPJT

取り組みに至った経緯

プロジェクトは以下のような経緯を経て立ち上げられました。

■2008(平成20).7  

都合山たたら跡発掘調査:遺跡の保存状態が非常に良好で、学術的に貴重であることが証明された。

■2010(平成22).4  

「たたらの楽校 根雨楽舎」開館  

■2010(平成22).6  

伯耆国たたら顕彰会設立。顕彰会が小説「TATARA」(松本薫著)を発刊、翌年末に「鳥取県出版文化賞」を受賞。

■2012(平成24).6  

奥日野ガイド倶楽部設立。

■2013(平成25).10  

たたらの楽校 根雨楽舎に併設し、「都合山たたら資料館(日野町歴史民俗資料館分館)」がオープン、都合山たたらの高殿模型を収蔵。(写真)

 

取り組みスタート

いよいよ取り組みが始まり、次々とカタチが見えてきました。

■2017(平成29).3  

中国四国博報堂による「奥日野たたらの里づくり戦略」を策定

■2017(平成29).4  

都合山たたら跡ARアプリ「バーチャルガイド」運用開始。   

■2017(平成29).6  

「奥日野たたらの里づくりプロジェクト実行委員会」設立。田貝英雄会長以下、たたら、観光、町関係者で組織され、たたら製鉄の歴史・文化を地域遺産としてまちづくり・観光振興に生かすための取組を行う。

■2018(平成30).3  

都合山たたら跡案内板設置(下上菅踏切付近、たたら街道入口の2か所)都合山たたら跡パンフレット作成(3,000部)

■2018(平成30).10  

根雨の大鉄山師・近藤家住宅が鳥取県保護文化財に指定された。

 

取り組みの継続〜展開

 

■2019(平成31).3  

都合山たたら跡周辺にベンチ10基を設置。(3月23日にベンチづくりイベントを開催。16名の参加で木製ベンチを製作・設置を行った)

■2019(令和元).10  

都合山たたら跡が県指定史跡(県指定の生産施設)に指定

■2019(令和元).10~11

 ▶「奥日野たたら2Weeks」開催

 ▶10.19「都合山たたら跡にCABINを建てよう!」実施

 ※都合山たたら跡に、参加者でCABIN(簡易小屋)を組み立てるイベント。資材運搬や床材・壁材などの組み立てを参加者(16名)共同で行った。

 ▶10.26「レッ都合!たたら探検(お風呂付)」実施

 ※都合山たたら跡へのトレッキングと遺跡探訪を実施、リバーサイド帰着後、たたらんちによる昼食と入浴を楽しんでもらった。

  ▶11.3「ここがスゴイぞ!都合山講座」実施

  ※10月に県指定史跡となった「都合山たたら跡」の歴史的・学術的価値等について、専門家による講座を実施した(ふいご祭のイベントとして実施)

■2020(令和2).11  

「第7回令和のふいご祭」開催

 ※たたらトークセッション「日野町のたたらと文化財を語る」で、「鉄山師近藤家と都合山たたら」と題し、専門家によるトークセッションを実施。

 

■■このほか、たたら顕彰会、奥日野ガイド倶楽部など主催による、都合山たたら跡探訪イベントが随時行われている。

令和3年度は、6月から12月まで6回行われ、延べ116名が遺跡を訪れた。

 



奥日野たたらの里づくりへの想い

先人の知恵と心、そして文化をまちづくりに生かす

 秀峰大山を遥かに望み、中国山地に抱かれた、ここ「奥日野」は、良質の砂鉄を含む花崗岩の山肌と清らかな水、そして燃えさかる炎を使って、古来「たたら製鉄」が営まれてきました。天下の名剣として名高い「童子切安綱」も、平安時代に伯耆国の刀匠・安綱が鍛錬したものと伝えられています。

 その後も、伯耆各地で数多の鉄山師が活躍しましたが、中でも江戸中期から大正にかけて根雨のまちで鉄山経営を行っていた近藤家は、奥日野を代表する鉄山師として今も語り継がれています。現在でも、往時の繁栄を伝える近藤家住宅をはじめ、7代当主・寿一郎が私費で建設し町へ寄贈した旧根雨公会堂、「出店近藤」であった日野町公舎など、近藤家がまちづくりに貢献した足跡も多く残されています。

 

 近藤家が経営していた「たたら場」は、現在も遺跡として数多く残っていますが、最も重要といえるのが「都合山たたら遺跡」です。1898(明治31)年、東京帝国大学の俵国一博士が操業中だった都合山たたらで詳細な調査を行っており、現在、建屋は失われているものの、山内の構造をよく残していることから、学術的にも大変貴重な生産遺跡として注目を浴びています。

 日野町では、平成28年度、都合山たたら跡の地下構造保存のため、支障木の伐採や、「たたら街道」の橋の架け替えなど、遺跡の保護と安全を目的に整備を行いました。併せて、遺跡周辺の5つのポイントで、操業時の姿がスマートフォン等の画面上にCGで再現されるARアプリも開発し、奥日野の伝統産業と最新のデジタル技術が融合した、まったく新しい史跡探訪の楽しみ方を皆さんに提案しています。

 準備は整いました。あとは、たたら文化の顕彰・継承と観光面での活用について、これらの資産をどう生かしていくかに懸かっています。

このたび、株式会社中国四国博報堂様に提案いただいた、この戦略の策定にあたっては、町内のたたらおよび観光関係者等にご協力いただいたのはもちろん、ビッグデータを活用した市場調査、モニターツアーの実施など、町外の皆さんからの意見を多く取り入れていただきました。

 町としましては、この戦略を参考にさせていただき、奥日野が誇るたたら文化の顕彰および観光振興をさらに進めてまいりたいと思います。

 皆様、ぜひ一度、「奥日野たたらの里」へお越しください。

 

                 平成29年3月

                      日 野 町 長