平成31年4月に改正された文化財保護法。昨今、その所有者が維持・管理の厳しさに直面するケースも多くなっています。こうした現状を踏まえ、文化財を地域の宝として皆総掛かりで、また文化財をテーマで括り、ストーリーを付与しながら観光や地域づくりに活かし、そうした系統的な計画を実行することで保存していこうという流れを示したのがこの新しい「文化財保護法」です。
日野町では改定された文化財保護法を受けて、この度4つのストーリーを設定。たたらの歴史もそのひとつとして事業計画が練られています。
今後その計画が国に認可され、本格的な事業の開始が期待されます。
鳥取県の指定史跡となった「都合山たたら跡」。来訪される方がちょっと腰を下ろして休憩できるようにと、ボランティアを募って「ベンチ作り」から始め、次にみんなで小さなキャビンを建て、ウッドデッキや屋外テーブルを設置し、2022年にはバイオトイレも完成しました。
いつでもみんなが集る遺跡公園を目指して、年々進化している「都合山」の様子をまとめています。
日頃行っているミニたたら操業その他のワークショップに合わせ、「たたら」を優れた教育素材として生かすべく、2019年、この冊子を制作しました。
冊子ではでは地球史、生命史、人類・文明史・・・といった一連の流れを紹介。科学全体を俯瞰することを旨としています。
中学になると「理科」は生物や物理・・・に分かれ、高校になると受験に不要な科目は切り捨てるのが現在の学校教育のカリキュラムです。そういった中で、多感な時期に、サイエンスを一連のものとして捉えることはとても大事ではないかと思われます。この小冊子を、リベラルアーツやサイエンスコミュニケーションの一助にしていただければと思います。
2021年12月、角田徳幸博士の指導のもと、「幻の都合谷鉄穴を探せ!現地踏査」を行い、その幻の一端を見つけることができました。上流2箇所で取水し、尾根沿いに引いた緩い勾配の水路で流し、切羽で一気に落水させてふたつの選鉱場で砂鉄を採取していたことが判明しました。しかしどうも、ここだけにとどまらないようです。この近くにもっと大規模な砂鉄採取地があったはずだとの見解が、角田博士などから示されていて、今後その全容解明が求められています。
24年12月に開催した「中国山地たたらサミットin 奥日野」。それまでまったく連携がとられていなかった中国地方各地の、たたら関係4団体にお声かけをして実現し、「中国山地におけるたたら製鉄の歴史的価値を後世に伝えていくことに関する宣言(通称「奥日野宣言」)を採択しました。今後、この情報交換と親睦の機会をさらに継続強化していくことも、私たちの大事な取り組みです。